
| 開催日時 | 2025年9月27日(土)13:00-14:00 | 
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| 場所 | ART FAIR ASIA FUKUOKA(AFAF)会場 | 
| ゲスト | 栗林隆(アーティスト)/天野太郎(キュレーター / 東京オペラシティ チーフ・キュレーター)/ ウジ・”ハハン”・ハンドコ(アーティスト / ジョグジャカルタ) | 
| モデレーター | 吉田大作(Artist Cafe Fukuoka チーフディレクター) | 
| 内容 | アーティストの成長・交流拠点「Artist Cafe Fukuoka」による出張トークイベント。ジョグジャカルタのアートコレクティブをテーマに、アーティスト栗林隆とHahan、そしてキュレーターの天野太郎が登壇。越境するアートの現場からアジアのアートネットワークの可能性を語ります。 | 
当日行われたトークイベントのダイジェストをお届けします。
2025年9月27日(土)、Artist Cafe Fukuoka主催のトークイベントがART FAIR ASIA FUKUOKA(AFAF)の会場で開催され、アーティストの栗林隆氏、ジョグジャカルタのアーティスト、ウジ・"ハハン"・ハンドコ氏、キュレーターの天野太郎氏が登壇しました。
1)ジョグジャカルタの魅力
栗林氏は2012年からインドネシアのジョグジャカルタを拠点に活動しています。古都であるジョグジャカルタは王様が住み、土地が安いため若いアーティストが集まっています。有名な芸術大学ISIがあり、コレクティブ文化が根付いています。栗林氏は「居心地の良さ」と「半分いい加減なおおらかな世界」(良い意味での)に魅力を感じ、日本とジョグジャカルタの二拠点で制作を続けています。
2)インドネシアのアートコレクティブ(アーティストの集団)の役割
ハハン氏は2009年に芸術学校を卒業後、エースハウスコレクティブを結成。アーティストが集まり、リソースや知識をシェアすることで、芸術を「仕事」ではなく「生活」として捉える活動を展開しています。若いアーティストに機会を提供し、プロジェクトを集団で成功させることで全員の収入につなげる仕組みを構築しています。
代表的なプロジェクト「エースマート」の概要を動画で紹介。コンビニとギャラリーを掛け合わせた24時間営業の展示空間で、アーティストが常に何かを考えているというコンセプトを体現する空間展示について紹介されました。
3)日本との比較
天野氏は、日本では各種規制が多く、美術大学でさえ24時間制作環境開放されていない現状を指摘。一方、インドネシアは人口増加と経済成長が続き、急激な成長に各種制度整備が追いついていない分、民間のアートコレクティブの存在意義が大きいと語りました。最近、日本の若いアーティストがインドネシア移住を希望する相談が増えていると言います。
栗林氏は、インドネシアの歴史的背景として、1990年代まで5人以上集まると逮捕される時代があり、その反動で、人が集まって結束する文化が生まれたと説明。アートコレクティブは「アートのため」ではなく、「共に生きるため」の媒体として機能していると述べました。
4)福岡への期待
栗林氏は福岡に対し、東京を追いかけるのではなく、九州独自のアート文化圏を構築することへの期待を語りました。歴史的背景や独特の文化を活かした展開を期待していると語り。現在、Artist Cafe Fukuokaで、人生初の壁画制作に取り組んでおり、制作プロセスも公開してきたことを述べました。